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[ストリートスタイルフォトグラファー/ジャーナリスト シトウレイ]
世界を股にかけるストリートフォトグラファーが思う「似合う」の見つけ方

2017/10/2

雑誌やWEBではスナップ記事がすっかり定着し、一般の人でもファッションアイコンになれる現代。そのムーブメントの立役者あり、東京の街角スナップで培われた類稀なる審美眼を持つシトウレイさんは、ファッションスナップを世界へ向けて発信するウェブサイト『STYLE from TOKYO』を主宰していることでも広く知られています。10年以上にわたり、5,000人近い人々を撮影してきたシトウさんが考える「似合う」について、お話をうかがいました。

ファッションについて、
良くも悪くもガラパゴス化していたかつての東京

――シトウさんは今や、日本だけでなく欧米を股にかけるストリートスタイルフォトグラファーとして活躍されていますが、スナップを撮り始めた当時のことを聞かせてください。

シトウレイ(以下、シトウ):私がストリートスナップを撮影し始めたのは、とある雑誌の編集部に所属していた2004年頃になります。そこでカメラマンとして撮影をしていたのですが、紙媒体となるとどうしても撮影してから世に出るまで、長くて2ヶ月ほどかかってしまうんです、それに対して漠然と「古くなるな」と感じていました。そんな矢先、ニューヨークコレクションに撮影へ行ったのですが、私自身が有名なスナップサイトに載る機会があったんです。WEB上に1週間くらい前の私のスナップが掲載されていたのですが、その時に、凄く驚いたんです。そこにはすでに世界中から300くらいのコメントが掲載されていて。そのスピード感と影響力に衝撃を受けました。
それまでは雑誌のスピード感にジレンマを感じていた部分があったので「これだ!」と思い、自分が撮影したファッショナブルな人々を掲載できるウェブサイト『STYLE from TOKYO』を立ち上げました。

――その頃の東京は、シトウさんから見てどんな街でしたか?

シトウ:2004年から今まで東京や原宿を見てきたなかで、大きな変化は2つありました。ひとつは2008年頃から欧米のファストファッションが本格的に参入してきたこと。そしてもうひとつはInstagramなどSNSの普及、その2つによって東京のファッションシーンは大きく変わったと思います。
過去の東京って、ファッションについてとにかく移り変わりが早くって、どこを見てもオリジナリティがあった。街を行く人がトレンドアイテムを着るのではなく、自分たちが新しいトレンドを作っていた印象でした。おしゃれな人たちはみんな、仲間たちと切磋琢磨しながらスタイルを磨いていたから、欧米のファッションウィークなどで出てくるワールドトレンドとはまったく違うムーブメントが起こったりして。良くも悪くもガラパゴス化していたと思います。突然着物姿の人が出てきたり、スカート男子が現れたり、森ガールが増えたり。とにかくめまぐるしく変化していました。
でもファストファッションが入ってきてからは、ファッションそのものが大衆化した。昔は可愛いものやかっこいいものは高くて手が届かなかったから、買える範囲でアレンジしたり、古着を着こなしたりして個性やスタイルが確立していましたよね。
もっと言うと昔はファッション偏差値30の人もいれば50の人、70の人とさまざまだったけど、今は30の人はいなくなった。その代わりに70の人もいないんですよね。結果、ファッション偏差値45〜55の人が増えた印象ですね。ファッション偏差値50前後と言うと写真を撮る以前に、記憶に残らない人が大半になるんです。

――ではシトウさんは、どのような基準でファッションスナップを撮られて来たのでしょうか?

シトウ:私が当時から大事にしているのは、自分で自分のファッションを生み出すことができる人。トレンドに身を委ねるのではなく、トレンドを自分で作れる人。例えば「今、俺の中で黄色が流行っているから黄色を着るんだ!」とか「ベレー帽がキテる!」って思ってそれを貫ける人。そういう方のスタイルって有無を言わさない説得力があって、なんか面白いんですよね。

「似合う」に大切なのは、
サイズ感、バランス、馴染み方、そして固定概念をなくすこと

――ではこれまでたくさんの人々のスナップを撮ってきたなかで、シトウさんが思う「似合う」を見つけるために大切なこととは、どんなことだと思われますか?

シトウ:とても考えたんですけど「似合うもの」って4つのエレメントにわかれると思っています。まずはサイズ感。 サイズ感は細めにぴったり合わせるタイトフィット、少しゆとりがあって肩の位置や袖丈、身幅や着丈が合っているジャストフィット、そして全体的にざっくりと大きなオーバーサイズと3つの展開がありますが、自分にとってそれぞれのサイズ感を熟知していることですね。歳を重ねるごとに体型や顔つきも変わると思うので、そのときどきで似合うサイズ感を把握しておくことが大事です。
次がバランス。初めて着たアイテムがしっくりこなくても、少し調整してバランスを見ること。スカートを穿いてみて、イメージと違ったとしてもすぐに脱がないで少し上げたり、下げたり。微調整してバランスを見るんです。そうすることで、自分がそのスカートを穿く前にイメージしていた絶妙なバランスを見つけることができます。「ちょっと違ったかな?」というサイズ感でも、調整することでしっくりくることがありますから。
そして馴染み方。これは誰でも心当たりがあると思うんですけど、新しい髪型に挑戦したときの「なんか違う……」っていう感覚。それは似合っていないんじゃなくて、自分が見慣れてない、馴染んでないだけなんです。そういうアイテムを買った時、私はあえて自宅で一日中その服を着たり、差し支えなければ一晩寝てみたりします。アイテムにもよるけど、カットソーやパンツ、デニムくらいだったら、一回一緒に寝るか、2、3日部屋着にすると自然と見慣れるし馴染んでくるんです。だから違和感を感じたアイテムは、部屋でイメージトレーニングをして、その後に街中へとデビューさせるのがオススメです。

――そして固定概念をなくすというのは?

シトウ:はい、これも意外に誰しも持っていると思うんですけど「お店の人にこう言われたから、私はこうだ!」とか「私は丸顔だから◯◯◯は似合わない」という、長年蓄積した自分への固定概念をなくすことですね。そういうものって、意識しないレベルで確立していくんですよね。身長が低いからロング丈はやめたほうがいいとか、雑誌などでもそういう記事を特集していたり、知らず知らずのうちに、そういうものだと思い込んでしまっている。でもそれは思い込みであると同時に、他人の価値観での話だから、自分がどう思うかというのをもう一度、鏡の前で確認してほしいと思いますね。それこそラゾーナやららぽーとのような場所には、全身が映る大きな鏡があって、頭の上からつま先まで確認できるから、そういうところで自分を見つめ直すのはとてもいいことだと思います。

そして最後は、自分の変化を自覚し、受け入れること

――とても具体的な提案をありがとうございます、目からウロコでした。

安部:私、洋服を似合わないから捨てるとか、ワンシーズン着たら古くなるから捨てるっていう概念がなくて。どの服も、すごく好きだから絶対捨てたくないし、ちゃんとその服の生涯を全うしてあげるのが、買った人の責任だと思うんです。だから、どうにかして着るために試行錯誤する、そうしている時に自分の体を見て知ることになるし、変化にも気づけるんです。そうやって自分の成長と一緒に、服も育てていけばいいと思う。 そうそう、一番大事なことを忘れていた。自分は変化するものだっていうことを自覚することも大切です。自分は体型も肌の質感も変わっていくものだって、いつも自覚しておくこと。例えば、去年似合っていたものが今似合うとは限らないし、去年似合わないと思っていたものが、今年になって自分がアップデートしたことで似合ったりもします。だから自分は常に変化していく、アップデートするものだって認識しながら4つのメソッドを試せば「似合う」は見つかると思います。 そうして着ていくなかで、その服の生涯を全うした時に手放すことで、また新しいアイテム、相棒になる服に出会えると思うんです。トレードオフですね。捨てることは手に入れることだから。

――では最後に、シトウさんが考える、魅力的な人はどのような人ですか?

シトウ:魅力的な人というのは、自分で自分の好きなものや、着たいものを創り出せる人。自分で自分の中でトレンドを創り出せる人ですね。スナップを撮る人とも重複するんですが。あとは毎日、自分をブラッシュアップさせたい、成長したいなって思える人はすごく素敵だと思うし、美しいですよね。少なくとも成長しようと努力をしている人、そんなの姿勢がある人は、歳を取っても素敵だしすごく好きです。

【 シトウさんの
マストハブアイテム 】

(カメラ)普段から「FUJIFILM」のX-T2を愛用しているというシトウさん。「何時間もカメラを持って撮影するので、小さいけど一眼レフの性能があることが大事なんです。」
(スナップのアンケート)現在、4815名を撮影済み(2017年8月上旬時点)。「表には名前、着用アイテムの情報、ちょっとした本人の情報を書き込んでもらうようにしています」
(ペン)手前がモンブランのボールペン、奥は旦那さんの4色ペンを拝借している。「モンブランは中学の時に親戚のおじさんからの贈り物です。4色ペンはとにかく使いやすさがポイント!」

PROFILE

シトウレイ | Rei Shito
ストリートスタイルフォトグラファージャーナリスト

石川県出身、早稲田大学卒業。2004年より雑誌編集部へ所属してカメラマンとして活動を開始。2007年にウェブサイト『STYLE from TOKYO』を立ち上げ、ファッションスナップカルチャーのパイオニアとして、日本国内だけでなく海外からも注目を集める。現在も、ライフワークとしてスナップ写真を撮りながら、多くの媒体で活躍している。10月にはブランドとのトリプルコラボとなるソックスや靴をリリース予定。その他にもトークショーやオフランウェイのセミナーなどが多数控えている。

HP: http://reishito.com/
Instagram:@reishito